徘徊イメージの「行商美術」

岐阜で 24日まで

美術を身近に−。そんな思いを込めて全国各地を巡回している「行商美術」展が、岐阜市栗矢田町のギャラリーパスワールドで開かれている。絵画、版画、彫刻……。作家集団「行商美術」のエネルギーあふれる作品の数々に出会える。 24日まで(18日休み)。
行商美術は 98年夏、画家の美濃瓢吾が呼びかけた作家ら20入でスタートした。「行商美術」という名は、前衛ブリキ彫刻で知られる秋山祐徳太子の写真作品に由来するという。その写真は、ボストンバッグの中にプリキの人形が無造作に並べられているもの。今にもはい出して歩き出しそうなはいかい人形から「美の徘徊」をイメージした美濃は、作品の全国巡回を思いついた。
「大雨や風雪をものともせず、商店、旅館、寺社、温泉、離島……。津々浦々で展示即売します」と美濃が言うように、展覧会は鳥取県の三朝温泉から始まり、静岡の小劇揚やプラネタリウム、新潟の旅館、大分のギャラリーなど様々な場所で開いてきた。展覧会のないときは静岡市の美濃宅で作品を保管している。
今年 5月7日。東京の新宿ゴールデン街のバーで開いた展覧会初日の深夜、火事に遭って全作品約60点が燃えてしまった。今回の岐阜での展覧会が危ぶまれたが、美濃がメンバーに協力を求める手紙を出し、36人から100点を超える作品が集まった。
会揚には、秋山のネコのブリキ彫刻=写真=、美濃の招き猫を描いたアクリル画をはじめ、吉野辰海のイヌを題材にした絵画、第 1回から参加する岐阜県の大野泰雄の色彩豊かな絵画などの作品が並ぶ。作品価格は安めの設定という。
展覧会には毎回、メンバー以外の地元作家も参加し、今回は独自の「地蔵画」を制作している岐阜の中村淳子ら 3入が出品。「美術を通じて人の輪を広げることも目的」と美濃。
10年目を迎える来春には、始まりの地である鳥取県で開く予定だ。ギャラリーパスワールド(058・263・3682)。

朝日新聞 アート欄 
2007年12月18日 16面

記録一覧