2001年2月8日(木曜日)
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むき出しの土壁、そこに混入した古里の植物の種、木目の間に色布が詰められた板・・・。どこか懐かしい肌触りと祭器のような造形を示す作品が並ぶ、現代美術家ソガヒロシさん(42)=郡上郡八幡町出身、神奈川県川崎市在住=の岐阜県内初の個展が、岐阜市夕陽丘「ギャラリーなうふ」で開かれている。 ソガさんは八幡町美山に生まれ育った。東京でサラリーマン生活の後、20代末からニューヨークでのパフォーマンスも含む美術活動を始めた。これまで「共存」「要素」のタイトルで和紙、布、ひもなどを使い「生命体」をイメージさせる作品も発表してきた。 数年前からは、東京と古里八幡を行き来する生活。古里では米作りに取り組み、「植物のサイクルに合わせた生活になりつつある」という。「美術は田を耕すこととどこか似ている。土から植物がうまれ、また土に還る。境目なんてどこにあるのだろうか」と感じるようになった。 展示作品は、そんな八幡の自然と生活の気配や土のぬくもりを放っている。 「占い」と名付けた作品は、やや円みを帯びた土塊とその周囲に延びる竹。竹はさまざまな色の布で網目のように結ばれている。土塊は、一部がはがれて中から竹組みが露出した土壁そのもののようであったり、何重にも縄を巻き着けた不思議な紡すい形であったりする。また円すい、球形の土塊から光景のように竹が延びているものもある。 土塊はよく見ると、ワラなどにまじり、やや黒みのある大小の粒がある。それらはヒマワリ、ウリ、オクラ、それに草の種。「いずれも八幡の家の近くにあった種ばかり」。むき出しの土塊は時と共に形の変化を予感させる。「野外に置いてもいい。雨風にうたれ土が流れ落ちるかもしれない。種から芽が伸び草が茂るかもしれない。元が変形し、それ自体が無くなってしまうかもしれない。」 一方、「お守り」と名付けられた連作は、古い板材がほぼそのまま壁面に立て掛けられている。「道から田んぼに架けられた栗の木の”渡し板”を見て面白いと思った」。人々が歩き年月を経た板は、風化で木目が浮き立ち地層のようだった。ソガさんはその一本一本の皺(しわ)のすき間に赤や緑の布切れを詰めた。色鮮やかな布の線が、その板が持つ生の記録をよみがえらせてくれる。 会場にある20点ほどの連作「占い」「お守り」は、四方に延びる竹であったり、風化にさらされる土塊だったり、時と記憶の集積であったりして、空間と時間を排除して在るものではない。埋め込まれた種はタイムカプセルであり、常に変化の可能性を孕んでいる。ソガさんは「作品は他と区別する、不動不変のものでなくていい。制作者は移りゆく時の一瞬を記すのみ。”種をまく”ができればいいと思っている」とそのスタンスを語る。 岐阜新聞 林進一 |
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