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彫刻家でイタリアなど海外交流展にも積極的に取り組んでいる中村淳子さん (五三)=岐阜市諏訪山=の立体とドローイングの作品展「脈(みゃく)」が、十五日から二十五日まで岐阜市栗矢田町のギャラリーパスワールドで行われる。木彫などに金属の管を組み合わせた立体。生命のほとばしりのように水墨が広がるドローイング。数年前から手がける立体、平面の連作に「病を機に自らの体を通して生と死を考えるようになった。血管とそこを流れる血液が、自然界にとっての川や水と同じなのだと実感できるようになった」と中村さんは語る。 中村さんは、木彫フェスティバルや二科展などに主に木彫を出品、その後、石や金属と組み合わせた作品を手掛けてきた。「空 (くう)」「母子」「風」などをテーマにした抽象表現は、古代仏教、真言密教の宇宙観ともつながり、彫刻はそうした宇宙を表す手だてだった。「量、塊としての立体、オブジェ」を追求してきた表現に変化が現れたのは、自らの体調の変化がきっかけだった。数年前、リンパ節の不調で足がむくみ、高熱が出た。通院・入院の日々の中で、おのずと自らの身体の内にある"流れ"に関心が向いた。「身体そのものが、流れを内包した一つの宇宙」だと感じた。「これまで外界、彼方のものであった宇宙が、実は自らの身体にもある。 ” 外界と内界 "が一体のものとして実感できたような気がした」と中村さん。一つの塊とそこから伸びる管−。作品は、塊と線が織りなすバリエーションとなっていった。 彫刻家のスタイルにもこだわらなくなった。入院中、「ベッドの上でも何かを描きたくて」と手にした紙と筆と墨。「一本の線、一つの点を描くことができただけで喜びだった」。紙と墨のドローイング作品は、水の流れに乗って墨が伸び、広がり、時に無数の飛沫 (ひまつ)を作る。「墨は描き直しがきかないけれど、精神の貴重な一瞬一瞬の形」だった。中村さんにとって立体作品での管、平面作品における線や飛沫は、そのまま身体の血管と血潮を意味する「脈(みゃく)」の作品群となった。展示は、立体が連作「脈」の五点、平面(墨によるドローイング)が「火大」「風大」など九点。「平面といっても墨と墨との間、濃淡があり、そうした隠れた空間が形になれば立体になる」。平面、立体の違いは中村さんにとって大きな違いではなくなった。さらに木彫から伸びる管は新たな広がり、空間を求める軽やかで自由な精神の形になっていった。今春、既に十五年になるイタリアとの交流展では初めて現地も訪れた。「病気をきっかけに、制作はむしろ自由で開放的、旺盛になりました」と中村さん。「自然・宇宙に耳を傾けつつ感じる生の喜び。それこそが、創造の根源だという気がしています」という。 ◇ 同展は、作品集「脈 (Pulse)」(星雲社刊)の出版記念展ともなる。 岐阜新聞 2005.05.14 |